シンガポールの賃貸は、不動産屋が物件を持っているのではなく、それぞれの家やコンドミニアムのユニット(部屋)に、オーナー(Landlord・貸主)がいて
オーナーが付けているエージェントと賃貸契約を交わします。
そのため、オーナーによって、同じコンドミニアムでもユニットの状態がまるで違ったり、家具有り物件ではセンスが違ったり、補修のマメさも、補修の費用をオーナーが持つかテナントが持つかも、、それぞれ違いがあるようです。
周りの人から聞く話だと
★オーナーには会ったことも話したこともない
という人もいれば
★オーナーは自分の家が大好きで大切すぎて、しょっちゅう家に来る。何か壊れたと連絡すると、必ず確認しにくる
という少々テナントが気兼ねするタイプもいれば
★何か壊れても、テナントに全額修理させようとして、なかなか修理の手配が進まない
という節約派もいれば
★何か壊れると、すぐ自費で修理を呼んでくれるし、買い替えてくれる
という太っ腹派もいるし
★何か壊れると、自分で駆けつけてDIY修理して帰る
という器用なオーナーもいるらしい。
我が家の旧居、ジュロンイーストのコンドミニアムのオーナーは、20代の青年でした。
おそらくご実家が裕福で、ご両親が不動産をお持ちなのかな、という感じで。オーナー自身は普段は会社勤めをしていて、お母さんと一緒にオーナー業をしているようでした。
我が家では、オーナーを「ぼっちゃま」とお呼びさせていただいておりまして
ぼっちゃま自身も、我が家と同じコンドの広いユニットを所有して住んでいたので、週末にジュロンイースト駅周辺で食事や買物をしてコンドに帰るときに、信号で会ったりする機会もありました。
ぼっちゃまとも直接WhatsApp(LINEのようなメッセージアプリ)で繋がっていて、毎月の家賃を振り込むと、「ありがとう。何か不便はない?」というお気遣いメッセージをいただくこともあり
何か壊れて緊急事態になった時にもすぐに修理を手配してくれたし
同じコンドミニアムに住んでいても、家に来ることはなかったし
育ちの良い子は人が良くて、シンガポールでの初めての賃貸で、良いオーナーさんに出会えて良かったと思っていました。
ところが、しばらくして、窓の鍵がひとつ壊れた時に修理をしてほしいと連絡すると、新築コンドミニアムの一年保証期間が切れた直後だったようで(私達が借りてから一年ではなく、オーナーが購入してから一年の保証)、オーナーとコンドミニアムのマネージメントオフィスでどちらが修理するか揉めた所で話が止まってしまい、そのまま鍵は放置されてしまった。
その後も、ウォーターヒーターのスイッチが1つ壊れたのだけど、別の場所のスイッチからも操作できるし、また修理をお願いしても放置されるだろう…と連絡しぶっている間に
ぼっちゃま側エージェントから、契約一年目の値上げという話がきた。
あぁ、ぼっちゃまは、テナントに長く住んで欲しいわけではなかったんだなぁ…と残念な気持ちもあり
我が家は引越を決め、着々と引越準備を進めて行きました。
あと少しで引越荷物をまとめて一時帰国…という時期になり、もうこのコンドともお別れだなぁという頃に
「契約更新しないんだってね」
…という、ぼっちゃまからのメッセージが。
どうやら、ぼっちゃまはサラリーマン仕事が忙しく、最近あまりシンガポールにいなかったらしい。
夫が
「うん、まぁ新しい値上げ賃料よりも安く借りられる所に引越すよ」
みたいな感じで、やんわりと値上げに文句を付けつつ(笑)返信すると
「まだ一緒に食事をしたこともなかったね。どこか食事に行こう」という、返信がきた。
テナント家族と交流の食事会をしたかったのか、最後の挨拶をするつもりだったのか、わからないけれど。
残念ながら、我が家はすぐに日本へ帰省してしまい、シンガポールに戻ってすぐに引越をしてしまい、オーナーとの食事には行くことができなかった。
その代わりなのか、わからないけれど、改めてずっと放置されていた鍵のことを聞くと、「こっちで直すからそのままにしておいて」と言われ
最後の引き渡しで、壊れたウォーターヒーターのスイッチや、実は鳴らなかった玄関ベル(来客・配達はオートロックの呼出後ドアを開けて待っていたので、玄関ドアベルを使ったことがなかった)も、請求がくるだろうと覚悟していたのに
一切何の請求もなく、敷金はすべて満額戻ってきた。
家賃値上げは、オーナーもビジネスなのだから、時勢により仕方がないことで
やっぱり、ぼっちゃまは、育ちの良い青年だった。
新しいお家を貸してくれて、ありがとう、ぼっちゃま。
今度の家のオーナーは、全然違うタイプで、インドネシアに住むインドネシア人ビジネスマンなのだとか。
シンガポール在住ではないので、会うことも無いのかもしれない。
オーナー側エージェントさんがとても良い人で、私達はエージェントさんの誠実な雰囲気に安心して家を借りたのだけど、そのエージェントさんが「オーナーはケチじゃないし良い人だから安心して」というのを信じたい。
悪徳オーナー、鬼のようなオーナーの話もけっこう聞くので、できればそういう物件には当たりたくない。
シンガポールには無数のコンドミニアムが存在するとはいえ、住みたいエリア、住みたいコンドミニアムというのは、そう候補があるわけではなく
しかも引越するタイミングというのは現在すんでいるコンドミニアムの契約終了時ということになると、その時点で、ちょうど空きがあるユニットしか借りることができないので
例えば同じコンドミニアムに、最悪なオーナーだけど素敵なユニットと、善良なオーナーだけど悪趣味センスなユニットの2つから選ぶしかなかったら、とても困る。
できるだけ良い物件、できるだけ良いオーナーに出会えるか、こればかりは自分の運次第…。
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